全国学生演劇祭BC

簡単な感想です

 

c ブルーマー
前半のくだり、千秋楽はほかの回と比べ特別笑いがなかったということを聞いてそれは大きな問題だったなあと思いました。前半のわちゃわちゃが笑えた方が後半の闇が際立つはずだから。少なくとも千秋楽みながら僕は前半笑えなくて前半のうちに冷めてしまってそのせいか後半も乗れなかった。
前半もっとテンション上げてカオスな空間を作って欲しかったと思いました。

語っている終末思想というか内容には非常に共感できました。Cブロック中ではねるつみきも終末的な世界を提示していたので、今の若者世代にある種共通の感覚なのかなあと思いました。

あの日が永遠でこの面倒な世界は明日で終わりならいいのにと、僕も思います。
幕切れが変な説明も引っ張りもなくスマートでした。ガムテープで縛られた女の子が出てくるところはもっとゾッとしたかった。もっとさりげなく提示されたらよかったかもしれない。

LPOCH
この団体が提示した人間の救い方があまりにも納得のいくものでその美しさに僕はちょっとだけ泣きました。
人が救われるのはささやかな肯定的な言葉や出会いであったりしますし、また彼が自分はこの瞬間のために先生になったと気づくシーンに見られる他者への貢献感によって救われるという描き方はほんとに美しいと思います。
一方で面白さという観点では弱い部分もあると感じました。水の表現に新鮮な印象を受けなかったことや、言葉で説明しすぎな印象もありました。男が救われる過程が美しく魅力的であるのですが、それがなんというか綺麗に構成されすぎているように思ってしまいました。綺麗すぎることで人生の切実な真実から少し離れてしまったように僕は感じました。

はねるつみき
ほかの団体とは異なる緊張感を作り出していましたしそれが高いレベルで維持されていました。この作品の提示するヒリヒリとした世界は肌感覚で納得のいくものでした。デモへいく友達との関係、男女の会話、いずれも鋭い表現で楽しめました。
世界への苛立ちを感じさせる中盤までと終盤ミサイルで再びまっさらになる世界。まっさらな世界から始まりそこに帰ってくる構造は苛立ちの先にある諦めのような感覚なのかなと受け取りました。面白かった。

ヲサガリ
ラストのライブシーンが楽しくてそれいぜんは前振りだったんだなあと観終わって思いました。オタ芸もジャグリングも楽しかった。異様なエネルギーを放っているのでもうそれだけで満足。アイドルは彼らの神であって、僕らにもそういうすがる神のようなものがあります。恋人でも趣味でも仕事でも、何かに人は捧げているしすがってるし助けられている。そしてそれを体で示せば今回のラストシーンのようなものになる。生を感じさせる良い舞台でした。

喜劇のヒロイン
俳優のレベルが1番高い団体と感じました。発声、身体性、間の感覚とかも良いのでほんとに安心して笑える。
基礎力が高いだけでなくそれぞれ魅力的でした、最初の女の子の笑い方は一度みたら忘れられないですし、2つの言葉しか話さない弟もかわいいんだけど不気味で印象深い。登場人物の顔を全員思い出せますそういう作品でした。
家族が交換されていく物語は率直に不気味でした。細部の作りが上手くて特に僕は、テレビ何みてるの、わかんなーい、あははは。
というくだりが好きでした。僕たちは家族などの代わりのいないと思う人の「何をみている」のだろう。何を持って彼は彼なんだろう。
いつも以上に構成が上手い作品と感じました。

砂漠のクロネコ企画
なぜ彼らはこの場所にいて会話をしてやりあってという1つ1つのことの動機がわからず、展開のためのセリフや人物になっているように思えた。
不快感を示しながらもこのベンチから離れていかないというシーンが多かった、女性は特に急に杖で殴られてすぐにこの場にとどまるという選択をするから不自然だった。

なんでも治せる万能な医者がいるが、それによって女は不幸になったようである。実のところ万能な、いわば神はもうこの世にいない。本当の意味で解決してくれる存在なんていない。でもそれらしきものにとびついてみるものもいるし、慎重になって待ってみるものもいる。

目の見えない人が見えるようになって狂気にいたるという表現が非常に表面的で既視感のあるもので好きになれなかった